【当事務所についてその5】国家資格キャリアコンサルタントとはなんでしょうか
前回、その1(当事務所の名前の由来)、その2(中小企業診断士とは)、その3(フリーランスとは)、その4(藤田有貴子ってどんな人間ベース編)はいかがでしたでしょうか。
今回こそ私が保有している資格である国家資格キャリアコンサルタントについて語ります。お問い合わせにもキャリアコンサルタントについてもいただいています。なぜ今まで書かなかったかというとかつて以下のブログで書いていたからでして、適宜引用しながら、追加しつつ伝えてまいります。
国家資格キャリアコンサルタント(中小企業診断士の非保有者向け)
Q1:キャリアコンサルタントとはなんですか?
回答:
厚生労働省のウェブサイトよると「キャリアコンサルティング」「キャリアコンサルタント」については以下のように書かれています。
「キャリアコンサルティング」とは
労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
(藤田注記:働く人の働き方やキャリアアップについて相談に乗ったりするということになります)
「キャリアコンサルタント」とは
キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。
(藤田注記:キャリアコンサルティングを行う、そのような必要なところで活躍しています。大学にも多くて最近は高校や中学で多いです。起業家向けにも必要ということを感じます)
「キャリアコンサルティング」の活用・効果
キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力、関心などに気づき、①【自己理解を深める(注:自分とはこうだったのか理解する)】とともに、②【社会や企業内にある仕事について理解する】ことにより、その中から③【自身に合った仕事を主体的に選択】できるようになることが期待できます。組織内では、必ずしも自身の希望が叶うわけではありませんが、④【自身の潜在的なキャリアのニーズに気づき、仕事や能力開発の機会などを通して視野を広げ、自身のキャリア形成を考えていく】ことが大切です。
(藤田注記:①自分のしたいこと好きなことできることや望むキャリアについて理解し、②現在はどんな仕事があるかを探してみて、③その中で自分がマッチしそうな仕事を選んでいく、④まだその仕事がない場合もこういう仕事やキャリアを求めていることがわかっているので必要な教育や経験を積んだりして自分のキャリアを考えていく)
キャリアコンサルタントは、③(クライアント)自身に合った仕事を主体的に選択し、④自身でキャリアを形成してもらうための支援者であるという基本原則に従い、Aクライアントに自己理解を深めてもらう方法(問いかけ、態度など)、Bクライアントに仕事に気づいてもらうために提供する仕事情報にもふれます。
(藤田注記:キャリアコンサルタントは「クライエントさまが③自分に合った仕事を主体的に選んで④自分でキャリアを形成していく」こと支援します。そのためにはクライアントさまがA自分のしたいこと好きなことできることや望むキャリアを理解・ハラオチし、B可能性に自ら気づいてもらうことが大事であり、キャリアコンサルタントが決めつけたり、押し付けないことがとてもとても大事です。そのために「対話と傾聴」でクライアントさまのお話をしっかり聞くのがすべてのベースです。これはコーチングや伴走型支援でもベースとなっていると思います。
ただ、対話と傾聴だけでは終わりません。クライアントさまのお話をしっかり深めながらお聞きして、その方が本当に求めているものは何か、問題や課題は何かを見立てていきます。その課題の仮説についてこうなのでしょうかとクライアントさまと確認しながら、進めていきます(確認をしないとクライアントさまの理解が進まないからです)。お話を進める中で解決にあたって、理論で当てはまる見方や解決方法はないか、この方がまだ気づいていない新しい仕事や環境のお話、他の事例など(情報提供)をお伝えして、クライアントさまの選択肢を増やして選ぶ可能性も広げていきます。「選択疲労」という言葉もありますが、キャリアコンサルタントについてはある程度広い中で自らで選び取っていく、選べなければ選ぶ方法も考えることが求められているような気がします。)
必要とされた背景
今までは新卒一括採用、終身雇用制度や年功序列、この年代に勤めて出世して結婚して出産して、退職して…とみんながある程度同じキャリアを選んでいました。現代は、少子高齢化社会による年金支給年齢の延長、再雇用などで生涯現役と年齢に働く流れなど就業環境の変化がでてきています。また、「働き方改革」「ワークライフバランス」に代表されるように、仕事一辺倒ではなく、ライフ(人生そのものやライフイベント)とワーク(仕事)とともに人生を考えていくという流れにあります。例えば子育てや育児、介護との両立、兼業副業などはこの流れでしょう(創業支援で兼業副業の方はとても多いです)。「会社は辞めてはいけない」という風潮で短期離職が多いと転職しづらいこともありましたが、現代は新卒の多くが3年目でやめてしまうという状況でやめたら実際どうするの?ということもあります。そのような多様化する価値観や働き方がある中で、自分自身が自分に合ったキャリアを自ら創っていく必要が出てきました。
そのようなことを支援する立場としてキャリアコンサルタントの必要性が高まり、2016年度国家資格化されました。なお現在は、企業等で働いている人や仕事を探している人、大学生などが多いですが、加えて、病気療養との両立や大学生だけではなく高校生や中学生、留学生支援、創業者支援にも広がっています。
Q2:どうしたら受験できますか
詳細:
キャリアコンサルタント試験の受験資格は以下の通りです
キャリアコンサルティングの実務経験がある方(②~④)以外にキャリアコンサルティング経験がなくても、①の講座を受けて試験に合格すれば取得できます。
①厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
②労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験(5を参照)を有する者
③技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
④上記の項目と同等以上の能力を有する者
私の経験した①未経験で講習受講について、ステップを書いていきます。
Step1:「厚生労働大臣が認定する講習」に申し込み(受験予定6か月前)
ネットで検索すると講座紹介がいくつかでてきます。講座説明会に参加し、比較されると良いと思います。なお受講料は20万円前後しますので、私および受講仲間の多くは、当時企業に勤めていたので、専門実践教育訓練給付金を活用し、ハローワークに申請すると受講と合格実績で受講料の一部が戻ってくる制度を利用しました。(フリーランスはこの制度は使えません。経費にはなるのかもしれませんが)申込前にハローワークでキャリアコンサルティングを受けてジョブカードを書くのがよいそうですが、私は時間がなくて勤務先の社長に書類を提出し、印鑑をいただきましたが、実際にキャリアコンサルティングを受けてみるのはなおよいかもしれません。(申請手続きについては講座を実施する学校側もフォローしてくださいます)
Step2:認定講座を受講
講座は学科パート、演習パートに分かれており、前半の学科パートは通信(ビデオ受講)で行う講座もあります。ただし、演習パートは7週連続、一定の曜日に朝から夕方まで通い続けることが義務付けられています。通学講座の振替はできず、いけない場合は欠席扱いとなり(部分での出席加算あり)、8割以上の出席がマストです。社会人にはハードルが高いのですが、ただ20人前後で7週連続通い、共に学び、ロールプレイングも多いので、クラスには「試験を一緒に頑張ろう」とう仲間意識が芽生えてくることが多いようです。
申し込む際、忙しくなる時期は調整したほうがよいでしょう。
Step3:受験
認定講座の後に1-2か月後に2日間の試験(1-2週空くので注意)を受けます。2019年度は年に3回ほどありました。試験で学科と実技(実践)の2つが問われるのは診断士と同じです。診断士は学科=1次試験、実践=2次試験(論文)、実技=3次試験(口述試験)ですが、キャリアコンサルタントは筆記試験(学科)と実技試験(論文+ロールプレイング)というカテゴライズです。診断士のように1次試験が終わって2次試験ではなく、筆記試験と学科試験は結果を知る前に同時に受けられます。
学科試験と実技試験(論文)が同じ日にあり、その1-2週間後に実技試験(ロールプレイング)があります。筆記試験:100点満点で70点以上の得点、
実技試験(論文、ロールプレイング):基準項目で基準点に達して、全体で6割
とる必要があります。片方不合格の場合は合格は数回は持ち越され、次回に片方だけ受験可能です。
「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)」「特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会」の2つの受験団体のいずれかで受けることができます。学科は両社共通ですが、実技(論文とロールプレイング)は両者で違います。違いについてはここで述べることは差し控えます。
私の受けた学校の講座は2つの団体に対応していましたが、片方の団体により対応している場合もあるのかもしれません。
学科試験や論述試験で左脳を動かし、ロールプレイングでは右脳を動かすという両脳動かす感じが診断士とはまた違う過程でした。
Step4:試験結果発表
試験結果にかかわらず結果と項目ごとの点数が来ます。振り返りができます。
Step5:登録・更新制度
学科試験、実技試験とも合格し、晴れて登録後は5年間で登録更新の必要があります。私も2024年4月に更新をしたばかりです。
登録要件として、厚生労働大臣が指定するキャリアコンサルタント更新講習38時間(知識講習8時間・技能講習30時間)以上を受講・修了することが求められています。知識講習は動画で数十時間、私はJCDAで受けました。技能講習30時間は、そのなかの10時間は、実習(実際の業務)とキャリアコンサルタント技能士1級の方のスーパービジョンで10時間までは代替可能です。私はどっちもお願い出来ましたが、キャリアコンサルタント技能士1級の先輩のスーパービジョンを受けて勉強になりました。それ以外の20時間は講座でとりますが(ぐぐるとリモートの講座も含めて、結構あります。なお、私は所属しているJCDAやモチベーションジャパン(リアルのみで1級の先生が2名で教えてくださり、コンサルタント的な視点があり私はわかりやすかったです)、キャリアトランプ(お友達に教えていただきました。おしゃれなカードでわかりやすいです)、あしあとみらい研究所(1級の先生が新しいテーマについていろいろ開催があります。リモートです)を受けました。
なお、キャリアコンサルタント技能士二級を合格すると更新講習38時間(知識講習8時間・技能講習30時間)は免除されます。なかなか難しい資格です。
なお、試験スキームは私が持っている中小企業診断士の学科と実践、登録制度があるなど両者には共通点も多かったです。中小企業診断士と国家資格キャリアコンサルタントを両方を持っている方は一定数いらっしゃいます。両社の比較については上記のブログに意識して書いています。
Q3:実際になってみてどうですか?
回答:
正直、気になりますよね。「待っていては仕事は来ない」です。いくつか資格を持ってみてわかりましたが、資格は取るのは大変だったり時間をかけたりしますが、とってみると経済学でいうところの需要と供給みたいなことになります(以下の写真がイメージ)。なった人が社会に求められていれば仕事があるし、求められていなければできない。
キャリアコンサルタントを増やすという施策はある(供給は増える)のですが、それを受け止める仕事(需要)はその分あるわけではなく。こういう時どうするのかというといくつかあるかなとおもうことをまとめますね。
方法1:キャリアコンサルタントが集まる場に積極的に参加する
キャリアコンサルタント協会やネットワーク、コミュニティに入る、そのイベントに参加して先輩や仲間とつながりを作っていくことでしょうか。大規模なところも小規模なところもあります。コミュニティでもいろいろ活動をしていて、お人柄や実力がわかるとお仕事がくることもあります。ただこれは入ったらすぐ仕事がある=即効性があるわけではなく、信頼築盛のためには一定の時間が必要な気がします。これはフリーランスや士業にも言えそうです。あとコミュニティの持っている雰囲気や相性があるので、あわなければ無理にとどまらず、動くことも大事だと思います。
方法2:キャリアコンサルタント×〇〇として発信していく
方法1が集団だとすると、個人としての発信も有効です。キャリアコンサルタントという人はそれなりにいるので、ブログなどで発信するときや打ち出していくときは、キャリアコンサルタントに領域をかけ合わせたり、自らの特徴を打ち出すほうがいいと思います。
キャリアコンサルタント×介護、元お笑い芸人のキャリアコンサルタントなど今はChatGPTも使って案を出してくれたりもします。
自分の過去のつながりでキャリアコンサルタントの知人やキャリアコンサルタントを探している方がいたりするこちがあります。そういうこまめなアプローチが実際の仕事につながることはあるように思います。
方法3:インプットとして割り切る
キャリアコンサルタントを仕事を生み出すものとしてする(アウトプット)のが上2つですが、無理にアウトプットでいかず、インプットに徹する手もあるかと思います。職場で生かす、プロボノをする、次のキャリアで生かす、自己研鑽に生かすでも意味があります。
自ら意味を見出すことが役立てることではないかと思います。キャリアコンサルタントとしてもクライアントの起きていることに意味を見出すのも大事なことではないかと思うので、自分で試してみるという方法はあるかもしれません。個人的には無理に維持しなくてもいいし、心地いい感じで持っていればいいかなあと思っています。
話してみたくなった方は、ぜひ毎月11日開催の「夢を叶える壁打ちラウンジ」(無料・オンライン・2名まで)にいらしてください。
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